📢 この記事について:数字や制度の解説ではなく、20代経営者としての本音を書いた記事です。
れん|20代経営者
20代で起業した株式会社代表(法人3期目)。会社と個人のお金で迷ったこと・失敗したことを発信しています。▶ 詳しいプロフィール
「独立したら自由に働ける」と思っていたのに、初日から動けなかった――こう感じた経営者は僕だけではないはずです。
会社員を辞めて独立した初日のことを、今でもよく覚えています。何をしたか、ではなく、何もできなかったことを覚えているんです。朝、いつものように目が覚めて、でも行く場所も、やるべきタスクも、指示してくれる人も、何もない。自由なはずなのに、その日はほとんど何も進められないまま夕方になりました。
会社員だった頃、朝会社に行けば、その日やるべきことは大体決まっていました。メールが来て、会議があって、タスクが降ってくる。自分で何をすべきか一から考えなくても、一日は勝手に埋まっていく。それを窮屈だと感じていたのに、いざその枠組みが全部なくなると、逆に何をしていいか分からなくなった。自由というのは、こんなにも人を立ち止まらせるものなのかと、独立初日にいきなり突きつけられました。
独立前、僕は「自由になれば、やりたいことをどんどんやれる」と思っていました。でも実際は、やりたいことを「自分で決めて、自分で並べて、自分で始める」という作業が、想像以上に重かった。会社員時代は、この「決める」部分を会社が肩代わりしてくれていた。優先順位も、締め切りも、誰かが決めてくれていた。その支えがなくなって初めて、自分が「与えられた枠の中で動くこと」に慣れきっていたと気づいたんです。
この初日の無力感から学んだのは、自由の本質は「何をしてもいい」ことではなく、「全部自分で決めなければならない」ことだ、ということでした。誰も締め切りを決めてくれない。誰も優先順位をつけてくれない。サボっても誰にも怒られないし、頑張っても誰もすぐには褒めてくれない。この「決めるコスト」を自分で背負えるかどうかが、独立してやっていけるかの分かれ目だと、後から振り返って思います。
だから僕は、その日を境に、自分で自分に枠を課すようにしました。会社が与えてくれていた枠組みを、今度は自分で作る。朝起きる時間を決める。今日やることを前の晩に3つだけ書き出す。締め切りを自分で設定して、自分に約束する。最初はばかばかしく感じました。誰にも見せない締め切りに意味があるのか、と。でも、この自分で作った枠がないと、自由は簡単に無為に変わる。自由を活かすには、逆説的だけど、自分で規律を作るしかなかった。
独立に憧れる人は、たぶん「自由」に憧れています。でも、その自由は、自己管理という重い責任とセットです。決めてくれる人がいない世界で、自分を動かし続けられるか。ここでつまずく人は、能力が足りないのではなく、自由の重さを甘く見ていただけのことが多い。僕自身、初日にそれを痛感しました。
今、フランチャイズ事業を経営する日々でも、この「自分で枠を作る」習慣が土台になっています。誰かが締め切りを決めてくれるわけではない意思決定の連続の中で、独立初日に学んだ「自分で締め切りを作る」感覚が、今も一番効いていると感じます。
あれから何年か経って、今は自分で一日を組み立てるのが当たり前になりました。でも、あの初日の何もできなかった感覚は、忘れないようにしています。自由は与えられるものではなく、自分で使いこなすものだ。あの無力な一日が、僕にその一番大事なことを教えてくれました。

