📌 この記事について:数字や制度の解説ではなく、20代経営者としての本音を書いた記事です。
れん|20代経営者
20代で起業した株式会社代表(法人3期目)。会社と個人のお金で迷ったこと・失敗したことを発信しています。▶ 詳しいプロフィール
小さな会社をやっていると、なんでも自分でやろうとします。お金がないから、というのもあるし、自分でやったほうが早いという思い込みもある。会計も、契約も、労務も、最初は全部自分で調べて対処していました。そしてある領域で、それが危ないと痛感しました。労務です。
実際にフランチャイズでスタッフを雇う立場になってから、「労務あるある」だなと感じることがいくつもあります。
・雇用保険や社会保険の手続きを、期限ギリギリになって慌てて調べる
・就業規則を「そのうち整備しよう」と後回しにしたまま何年も経つ
・有給休暇の付与日数や残日数を、実は経営者自身が正確に把握できていない
・給与計算ソフトの設定を鵜呑みにして、計算の中身を誰も検証していない
・スタッフから相談されて初めて、自分がルールを分かっていないことに気づく
どれも「今すぐ大問題」にはならないからこそ、後回しにしがちなところが厄介です。
人を雇うと、給与計算や労働時間の管理、各種の手続きがついてきます。ネットで調べれば、それっぽい情報はいくらでも出てくる。だから最初は「調べればできる」と思っていました。でも実際にやってみると、労務の世界は、ちょっと調べただけの素人が判断していい領域ではないと、じわじわ分かってきた。ひとつの手続きの背後に、細かいルールや例外が幾重にも重なっていて、しかもそれを間違えると、後で従業員との信頼問題や、金銭的な問題に発展しかねない。
怖いのは、労務のミスは、その場では気づかないことです。会計なら、数字が合わなければすぐ分かる。でも労務は、間違ったやり方でも当面は問題なく回ってしまう。そして何ヶ月、何年も経ってから、一気に問題が表面化する。気づいた時には手遅れ、というパターンがある。この「時限爆弾」感が、他の分野と決定的に違う。素人が触ると、自分では踏んだ地雷に気づけない。
ヒヤッとしたのをきっかけに、僕は方針を変えました。「自分でやること」と「プロに任せること」を、コストではなく、リスクの性質で線引きするようにしたんです。会計の記帳のように、間違えてもすぐ気づけてやり直せるものは、自分でやってもいい。でも労務のように、ミスが見えないまま蓄積して、後で取り返しがつかなくなるものは、多少お金を払ってでもプロに入ってもらう。判断基準を「安いか高いか」から「失敗が可逆か不可逆か」に変えました。
ここで大事だったのは、「自分が何を知らないかを知る」ことでした。危ないのは、無知そのものより、無知に気づいていない状態です。「調べればできる」という自信が、いちばん危ない。ある領域について、自分がどれくらい分かっていないのかを正しく見積もれること。これも立派な経営スキルなんだと、遠回りして学びました。全部を自分で理解する必要はない。ただ、「これは自分の手に負えない」と早めに判断できることが、会社を守る。
お金がないうちは、外注を「贅沢なコスト」だと感じます。でも、不可逆なリスクを素人判断で抱えるほうが、はるかに高くつく可能性がある。プロに払う顧問料は、コストというより、地雷を踏まないための保険です。特に人に関わる領域は、一度こじれると、お金では取り返せないダメージになることもある。
なんでも自分でやる、という美学は、ある段階までは有効です。でも、規模が大きくなり、人が関わるようになると、「自分でやらない勇気」のほうが会社を守る。全部を抱えるのではなく、抱えていい範囲を見極める。その線引きの精度こそが、小さな会社の経営者にとって、生き残るための実力なんだと思っています。
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