会社を辞めてから法人を作るべきか、それとも会社員のうちに法人化を進めておくべきか。起業を考え始めると、意外とこの「順番」で悩む人は多いようです。私自身は、会社員を辞めてから法人を設立した側です。
退職と法人設立、どちらを先にするかで、住民税や社会保険の扱い、そして失業保険を受け取れるかどうかまで変わってきます。今回は、自分が実際に選んだ順番と、それぞれの選択肢について調べて分かった注意点を整理します。
📢 この記事は、私が実際に選んだ順番(退職してから法人設立)という事実と、在職中に法人を作る場合/退職後に法人を作る場合それぞれについて調べてまとめた一般的な情報を分けて書いています。雇用保険・社会保険・住民税の扱いは個別の状況で変わるため、実際の手続きの際はハローワークや税理士に確認してください。

れん|小さな会社の実務ラボ
小さな会社を経営しながら、会社のお金・経理・業務サービス・AI活用について実際に試し、実体験ベースで発信しています(20代で起業した株式会社代表・法人3期目)。
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私は「退職してから」法人を設立した
私は、会社員を辞めてから法人を設立しました。在職中に副業として法人化を進めるという選択肢も一般的にはありますが、実際に自分が選んだのは「まず辞めて、それから会社を作る」という順番です。会社員を辞めた後、フランチャイズに加盟する形で今の事業を始め、現在は法人3期目になります。
この順番を選んだ結果、退職から事業が実際に動き出すまでの間、収入が安定しない期間があったのは事実です。ただ、在職中に法人代表として動くことに伴う就業規則まわりの心配をせずに、区切りをつけて動けたことは、自分にとってはやりやすさにつながったと感じています。
在職中に法人を作るとどうなるのか(調べてまとめた一般情報)
在職中に法人を設立すること自体は、法律上問題があるわけではありません。ただし、多くの会社は就業規則で副業・兼業や役員就任について許可制・届出制を定めており、無許可で法人の代表者になると、就業規則違反として問題になるケースがあります。
見落とされがちなのが、法人化したことが会社に伝わってしまう経路です。代表者として自分に役員報酬を出すと、住民税や社会保険を通じて勤務先に伝わることがあります。住民税を給与天引き(特別徴収)にしていると、副業分の所得が加わることで税額が変わり、会社の給与額と住民税額の差から気づかれることがあります。また、役員報酬を受け取ると社会保険の加入義務が生じ、本業の会社と二重に加入する形になると、勤務先に通知が届く場合もあると紹介されています。
調べた範囲では、これを避ける方法として、役員報酬をあえてゼロに設定する、確定申告時に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替える、といった対応が紹介されていますが、いずれも就業規則違反のリスクそのものをなくすものではない点には注意が必要です。
退職してから法人を作る場合の注意点(調べてまとめた一般情報)
退職してから法人を作る場合、社内ルールとの兼ね合いを気にする必要がなくなる一方で、気をつけたいのが失業保険(雇用保険の基本手当)です。ハローワークの失業給付は「働く意思と能力があるのに職に就けない人」を対象にした制度のため、退職後すぐに自分の会社を設立して代表者に就任すると、その時点で「就職した」とみなされ、原則として基本手当を受け取れなくなります。
ただし、離職票を提出してから一定期間(自己都合退職ならおおむね1ヶ月半以降、会社都合退職ならおおむね7日以降)が経過した後に会社を設立した場合は、要件を満たせば「再就職手当」を受け取れるケースがあると紹介されています。また、2022年7月からは、起業後に事業がうまくいかず廃業した場合に、一定の条件を満たせば失業保険の受給期間を最大3年間延長できる特例も設けられています。
このあたりの給付の可否は、退職理由や設立のタイミング、ハローワークへの申請状況によって細かく変わるため、正確なところは最寄りのハローワークに確認するのが確実です。
結局どちらを選ぶべきか
在職中に法人を作るか、辞めてから作るかは、正直どちらが正解ということはありません。強いて言うなら、次のような基準で考えるのが現実的です。
会社に伝わるリスクや就業規則違反を避けたい人は「退職してから設立」。ただし失業保険は原則もらえなくなる点は踏まえておく必要があります。収入の切れ目を作りたくない人・在職中に準備期間をしっかり確保したい人は「在職中に設立」。ただし就業規則の確認と、住民税・社会保険まわりで会社に伝わるリスクへの対応が必要になります。
まとめ|順番に正解はないが、優先順位ははっきりさせておく
退職前に法人を作るか、辞めてから作るかは、失業保険・住民税・社会保険といった制度上の違いに加えて、就業規則違反のリスクをどこまで許容するかという個人の判断が絡む問題です。私は辞めてから設立する順番を選びましたが、これから起業を考えている人は、まず自分がどちらのリスクをより避けたいかを整理した上で、順番を決めることをおすすめします。

